今日の5分で学べること。
小児と大人の骨の違い
橈骨遠位端骨折が及ぼす未来
小児の骨折で多い橈骨遠位端骨折について説明していきます
はじめに小児の骨の特徴を知ることでより理解が深まるため最初に説明をしていきます
小児 骨の特徴
小児の骨と大人の骨の違いを始めに説明したいと思います
①骨密度が低い
骨密度に関して6歳(小学一年生)くらいまでは大人の約半分の値しかないと言われています
男女により多少の変化あると言われていますが,小学6年生くらいまでは性差は少ないと言われています
②骨膜が多い
骨膜とは言葉通り骨の表面を覆っている膜になります
骨膜の働きとしては血管や神経が多く分布しており,骨への栄養を供給し成長を促しています
この骨膜が多いことで小児の骨折では不全骨折となる場合が多いのです
また膜に覆われているため骨片の転移も少ないと言われています
③成長軟骨の存在
小児の骨端には成長軟骨と呼ばれるものがあります
成長軟骨が存在することで骨が太く,長くなっていくのです
しかし成長軟骨は力学的に脆弱であり,小児骨折の約2割程度が成長軟骨板の付近で生じると言われています
成長軟骨板が損傷し骨の成長作用が変化し成長障害に繋がる要因となります
小児骨折の特徴
骨膜が厚く,骨自体にも柔軟性があるため,若木骨折や竹節状骨折などの不全骨折が多いです
多少転移があった場合でもリモデリング機能が強たいため,ある程度まで矯正されます
また骨癒合も良好のため偽関節が少なく,保存療法を選択することが多いです
後遺症
①変形治癒
小児期の骨は修復・形成する働きが強いため自家強制され元に戻る場合が多いです
全身の骨に関して骨端に成長軟骨が多いとされています
しかし骨端でも成長軟骨の分布に違いがあるため骨折部位によって治癒が大きく変化していきます
※上腕骨の場合には肩甲骨側には成長軟骨が多く,肘関節側には成長軟骨が少ないです
②成長障害
骨折により成長軟骨が障害されることで骨の成長に異常が生じ
関節の変形や痛み,また他関節の変形を助長させるなどの障害が発生します
成長障害は受傷半年は注意する必要があるため過成長や低成長に注意して定期的に経過を追っていく必要があります
まとめ
小児骨折は骨癒合が良好で変形した場合でも矯正されることが多いため予後が良好の場合が多い
しかし捻転転移など自家矯正の範囲を超えた骨折や成長軟骨の障害は注意していく必要がある